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水生生物調査とは調査の前に道具の用意安全のために現地調査調査のまとめ

調査の方法
no1 調査地点に到着

川の様子は、どうでしょう?下調べの時より、増水したり、水がにごっていませんか?

no2 調査場所のデータと川の様子を調査結果集計用紙[PDF 11KB][EXCEL版]に記録
no3 水生生物を調べる場所を決定
no4 水生生物を採取
no5 観察した水生生物や石を川のもとにあった場所に戻し、現地調査を終了

小さな幼虫や見分けにくい生き物は持ち帰り虫めがねや実体顕微鏡で調べてください。

※アメリカザリガニは令和5年6月から外来生物法に基づき野外への放出等が規制されました。 一度持ち帰ってから外に放すことなどは違法となるおそれがありますので、 不用意に持ち帰らないようご注意ください。調査の際にその場で直ちに放すことは問題ありません。
アメリカザリガニの規制について詳細は こちら


注意:川はみんなのものですからゴミを捨てたりして川の中や河川をよごさないように気をつけて下さい。調査に使った紙やテキストなどは、必ず持ち帰って下さい。身近な川を大切にしましょう。

川の様子

川のようすは、同じ川でも山から海にいたるまで、場所によって変わります。
上流から下流までの間に、地形、勾配、水位と流速などにより、形が変わります。
下記を参考にして、調査する川のようすを観察しましょう。

渓谷河川の特徴
扇状地河川の特徴
河岸段丘河川の特徴
自然堤防河川の特徴
三角州河川の特徴

水温

温度計で小数点1桁まで計ります。
生物採取場所でガラス製棒状温度計を直接流れに浸すかバケツなどで採水して、水温を測定しましょう。温度計の目盛りが安定するまで、約1分程度待ってから、目盛りを読み取ります。

川幅
実際に水が流れているところの幅を計ります。
川幅は、調査した場所の流れの幅を目分量で測って(目測といいます)記入します。橋の近くでは、流れの幅にあたる場所を歩いて歩数を数え、一歩あたりの長さを掛け算することにより求めることができます(歩測といいます)。正確に測るためには巻尺などを使って測定しますが、川を渡る危険もあるため、無理をしないことです。

生物採取場所
生物を採取した場所は、「流れの中心」とか、「右岸(あるいは左岸)(*)からおよそ何メートル」というように調べましょう。

*右岸・左岸:右岸とは、川の上流から下流を見て、右側の川岸のことです。左岸は、川の上流から下流を見て、左側の川岸をいいます。

上流から下流の長い(数キロメートル以上)区間を調査して、調査結果の地図(水質階級地図)をつくる場合
  • ほぼ同じ間隔で調査地点を置きます。
  • 地点の間の距離は、川や周辺の地形、土地利用、人家の数などから判断して、これら変化に対応させて決めると良いでしょう。
  • あまり間隔が長いと変化を見落とす可能性がありますし、間隔が短いと調査地点が多くて大変です。
支流の川や、工場、処理場などから水質が非常に異なる水の流入があり、その影響を調べる場合 
  • 水質が異なる水の流入点の上流側地点と、流入点の下流側の水がよく混じりあった地点とを調べて比較します。

水深
生物を採取した場所の深さを測ります。
川は、深いところや浅瀬があったりします。平均的な深さを記録します。

流速(流れのはやさ)
流れの速さは、生物を採取した場所のおおよその流れの速さを、次のように3段階で記入します。
流れの速さを正しく簡単に測定するには、「浮き流し法」という方法で測ります。3mないしは5mの一定の長さの細いひも(糸)をつけた浮きを用意して、時計の秒針をみながら、ひものはしを持ち、足元の水面近くに浮きを落として、浮きが流れて、ひもがピンと張った手ごたえを感じるまでの時間を計り、1秒あたりに流れる速さを求めます。浮きは釣りに使う浮きでもいいし、使わなくなったフィルムケースなどを利用して、ケースに半分ほど水を入れたものを用いてもいいでしょう。ひもの長さを3mとした場合、流れの速さ(流速)は、次の式で計算できます。

流れの速さ(cm/秒)=300(cm)÷かかった時間(秒)

たとえば、3mのひもを使って、流れるのに15秒かかれば、300cm÷15秒=20cm/秒 となるので、流れの速さの段階は「おそい」となります。3回程度測って、その平均値を求めましょう。このように流れの速さを実際に測定した場合には、流れの速さの段階とあわせ、測定した流速の値も記入しておきましょう。たとえば上の例では「おそい(20cm/秒)」と記入します。

川底の状態
川底は石がありますか? 砂ですか? 泥ですか?
どれにあてはまるか、観察しましょう。
頭大の石が多い・こぶし大の石が多い・小石と砂・コンクリート・砂と泥・泥・コケ・その他

水のにおい、水のにごり
水のにおいが感じられますか?水は澄んでいますか? にごっていますか?
川に入って水や石に触れ、目で水の色や汚れを見、鼻で臭いをかぎ、耳で水音を聞くなど、人間の五感をフルに活用して水の状態を感覚的にでもいいから調べてみましょう。水は透明で澄んでいますか? 変な色や濁っていたりしませんか? ドブのようないやな臭いはしませんか? 川底にミズワタ(白いワタ状の細菌のかたまりで、汚れた川で特に水温の低い冬に多くみられる)のようなものが見えませんか? 川は普通に流れていますか? 水量が少なくなって、流れがよどんでいたり、途切れたりしていませんか? 記録用紙には、たとえば、「透明で冷たくきれい」、「少しにごっている」、「大変汚れていてドブのようなにおいがする」などのように記入します。そのほか、調査場所の近くで支流から汚れた水が合流しているとか、工場排水から色の着いたいやな臭いの水が入っているとか、気づいたことを何でも記録しておきましょう。

魚、水草、鳥、その他の生物
川底の水生生物以外にも、川には多くの種類の生物が生息しています。川の中には、アユやオイカワなどの魚が泳いでいませんか? 水草が生えていませんか? 水際に植物は生えていませんか? 樹木の枝葉が水面上におおいかぶさっていたりしませんか? コサギやハクセキレイなどの鳥がいませんか? 調査場所付近でみられる生物について、わかる範囲で見つけた生物や気がついたことを何でも記録しておきましょう。

備考
時間があれば、流れの速い場所と遅い場所がどこにあるか、簡単にスケッチして見るとよいでしょう。危険な場所をチェックしておきましょう。
水生生物を調べる場所
  • 川に入る前に岸から眺めてみましょう。石ころの多い瀬など調査に適した場所はどこにあるでしょう?生きものがいそうな場所がありますか?調査場所の決定には「調査の前に」を参考にして下さい。
  • 実際に川に入って確かめます。流れはどうでしょう?水の深さは?石の大きさは?
  • 予定していた条件の場所か近い条件の場所があったら、調査場所を決定します。
水生生物採取
  • 調査場所が決まったら、下流側に網をおきながら、その場所の石のいくつかを静かに取り上げて、バットかバケツの中に入れます。
  • 下流側においた網は、石の下から流れる生き物を逃さないように、川底にしっかりとくっつけます。いっしょに入る砂利や落ち葉も採取します。
  • 石を取り上げたあとの川底にも生き物がいるので、シャベルや足でかき混ぜ、流れてくる生き物を捕まえます。
  • 川底が砂や泥の場合は、シャベルや足で川底をかきまぜる方法のみで採取します。
石や砂利、落ち葉から、水生生物を抜き出し、バットや入れ物に集める
  • 川岸に運んできた石はバットか白い敷物の上におき、よく見ながらピンセットなどを使ってその表面にいる生き物をつかまえます。
  • 網に入った砂利や落ち葉も少し水を入れたバットの上にあけ、動き出す生き物をピンセットなどでつかまえます。(写真 バット上から採取する風景)
  • 網にくっついたままの生き物もつかまえます。

注意!
  • いろいろな大きさの生き物がいるので注意して見ましょう。
  • 石のくぼみに隠れていたり、へばりついている生き物も見つけましょう。
  • 落ち葉や砂で巣をつくっていて目立たない生き物を見落とさずに捕まえられるでしょうか?
  • あまり歩き回ると、調査する前に生きものが逃げてしまいます。

生き物と川の関係
次のように、川の物理的環境により、生き物の種類や分布が変わってきます。
気候区分 温帯・亜熱帯
水温 低温・高温

河川区分

上流・中流・下流

塩分濃度

淡水・汽水

河川形態

淵・瀬・淀み

水質

有機汚濁と無機汚濁の程度

河床の形状

礫のサイズ

河岸の状態

水際植物の有無、コンクリート・土手

周辺環境

河畔林の有無、日照

水位変動 洪水時と渇水時の水位と頻度