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水生生物調査toha調査の前に道具の用意安全のために現地調査調査のまとめ

指標生物
水生生物とは
川の中には、ヤマメ・ウグイなどの魚類、カゲロウ・トンボ・トビケラなどの水生昆虫類、サワガニの仲間、カワニナなどの貝類、ヒルやミミズの仲間などさまざまな生きものが住んでいます。これらをまとめて水生生物と呼んでいます。

指標生物とは
水生生物の中でも、とくに、カゲロウやサワガニなど、川底に住んでいる生きものは、水のきれいさのていど(水質)を反映しています。
したがって、どのような生きものが住んでいるか調べることによって、その地点の水質を知ることができます。
全国水生生物調査では、29種類の水の中にすむ生きものを選び川にどの生きものが多く見られたかを調べることで、水のよごれの程度を判定しています。
このように、生きものを使って水質を判定する方法を「生物学的水質判定」といいます。判定に使う生き物を「指標生物」といいます。
川の中にすむ生物の種類は、水の中に溶けている酸素の量(溶存酸素)と深い関係にあります。
川の水に溶けている酸素の量は、水温と水のよごれの程度によって変わります。
水温が低いほどたくさんの酸素が溶け、水温が高くなれば溶ける量は小さくなります。
酸素は水中の植物によってもつくられます。一方、汚れている川では、水中に溶けている酸素が細菌などによってたくさん使われることから、酸素の量が少なくなってしまいます。
生き物の中には、川の中の酸素の量が少なくなると生きられない種類と、酸素の量が少なくても生きられる種類があります。水のよごれには、有機汚濁(家庭や工場、農地などからの排水に含まれる有機物による汚濁)と無機汚濁(化学物質による汚濁)があります。
水のよごれの指標には、pH、DO(溶存酸素量)、BOD(生物学的酸素要求量)、総窒素、総リン、SS(浮遊物質量)などがあります。
総合的に水のよごれの程度を判定するために、「生物学的水質判定」といわれる指標生物を使って調べる方法があります。
いろいろな川にすむ生き物を調べることによって、水のよごれの程度とそこにすむ生き物の種類の関係が研究され、その生き物がすんでいるかどうかによって、水のよごれの程度を判定できることがわかってきました。
水のよごれの程度の判定に使う生き物を「指標生物」といいます。

水のよごれの程度と指標生物
全国水生生物調査では、下の表のとおり、水質を4つに区分し、水質階級I〜IVに分け、各水質階級ごとに31種類の指標生物が決められています。
これらの指標生物の区分は、あくまで水質階級の判定のための区分であって、これらの生物がすんでいるから、その水がきれい、きたないというわけではありません。
たとえば、水質階級IIIの指標生物のミズムシや水質階級IVの指標生物のセスジユスリカは、源流部のきれいな川から、都市部の汚れた川まで広くすんでいます。
また、水質階級IIの指標生物のゲンジボタルは、源流部のきれいな川から、家庭排水が流入する田園地帯の里川まで、広くすんでいます。

表 水質階級と指標生物の関係
水質階級
種類数
指標生物
水質階級I
10種類
アミカ類、ナミウズムシ、カワゲラ類、サワガニ、ナガレトビケラ類、ヒラタカゲロウ類、ブユ類、ヘビトンボ、ヤマトビケラ類、ヨコエビ類
水質階級II
8種類
イシマキガイ、オオシマトビケラ、カワニナ類、ゲンジボタル、コオニヤンマ、コガタシマトビケラ類、ヒラタドロムシ類、ヤマトシジミ
水質階級III
6種類
イソコツブムシ類、タニシ類、ニホンドロソコエビ、シマイシビル、ミズカマキリ、ミズムシ
水質階級IV
5種類
アメリカザリガニ、エラミミズ、サカマキガイ、ユスリカ類、チョウバエ類

水質階級の判定
調査した川に多く見られた指標生物の種類によって、水質階級を判定します。
判定方法は、「調査のまとめ」に詳しく説明されています。
判定された水質階級は、川の水のよごれの程度により4段階に分けられます。
よごれの程度は、次の表のとおりです。
表 水質階級
水質階級
川の水のよごれ
水質階級I きれいな水
水質階級II ややきれいな水
水質階級III きたない水
水質階級IV とてもきたない水