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東京湾の水環境の現状

1.陸域負荷削減策の推進 | 2. 海域における環境改善対策の推進 | 3. 東京湾モニタリング

陸域負荷削減策の推進
(1) 現状と課題
  陸域から東京湾へ流入する汚濁負荷を削減するため、下水道の整備、地域事情に応じ、 農業集落排水施設、合併処理浄化槽等の各種生活排水処理施設の整備、河川直接浄化 施設の整備、河岸の改良、森林の整備・保全等の水質改善事業が実施されてきた。
  しかしながら、東京湾は流域に大きな汚濁源を有する閉鎖性水域のため、未だ富栄養 化による赤潮・青潮等の現象がみられる。このため、有機汚濁負荷削減と共に、栄養塩類 である窒素、りんの除去も対象とした水質改善事業の更なる推進が必要である。しかしな がら、高度処理の導入には新たな費用負担が生じ、その導入は十分進んでいない。よっ て、河川を含めた水質保全、例えば高度処理に要する費用負担については、受益と負担 の観点から行政単位だけではなく流域単位での最適な方法についても検討することが重 要である。また、東京湾に流入する汚濁負荷には、家庭、事業所等から発生する点源負 荷以外も、市街地、農地等から流出する面源負荷があり、水質改善を図るためには、面 源対策も進める必要がある。
  近年では、レジャー・レクリエーション活動の活発化により、人々の海への回帰が進み、 親水護岸、人工海浜の整備等を図られているにもかかわらず、雨天時等は浮遊ゴミ等が 存在しているため、景観、衛生面の観点から、改善を図る必要がある。

@ 水質総量規制
  東京湾においては、COD等の生活環境の保全に係る水質環境基準を確保することを目 途として関係地域から発生する汚濁負荷量を総合的かつ計画的に削減するため、各都府 県の総量削減計画の策定、総量規制基準による事業場等の規制、生活排水対策の推進 等を内容とする水質総量規制が、昭和54年度より実施されてきている。平成16年度を目 標年度とする第5 次水質総量規制においては、これまでのCODに加え新たに窒素及びり んが削減の対象とされたところである。

A 水質浄化事業
  下水道事業は平成13年度現在136市町村において実施されており、東京湾流域内に 81箇所の下水処理場(うち流域下水道の処理場は17箇所)が稼動している。東京湾流域 内の2847.3万人の住民のうち、2444.2万人の住民が下水道に接続しており、下水道 の処理人口普及率は86%(全国平均63.5%)と高い状況にある。しかし、中小市町村の 普及率は、まだ十分と言えず、中小市町村を中心とした普及促進が必要となる。
  東京湾の水質環境基準を達成するために、東京湾を対象とする流域別下水道整備総合 計画に関する基本方針では下水道の高度処理が必要とされている。しかし、平成13年度 現在、東京湾流域内の処理場のうち高度処理を導入している処理場は14箇所のみであり、 高度処理人口は175.7万人で高度処理人口普及率は6%となっており、全国平均9.7%、 伊勢湾及び瀬戸内海と比較して低い状況にある。東京湾の水質改善には高度処理の導入は不可欠であり、今後、強力に整備推進を図る必要がある。

  東京湾流域内においては、平成13年度現在、37都市が合流式下水道を採用している。
近年、合流式下水道からの雨天時未処理放流水による周辺海域の水質悪化が顕在化し ており、合流式下水道の改善を緊急に実施する必要がある。 農業集落排水事業は、平成13年度現在、東京湾流域内の埼玉県、千葉県において30 市町村で実施されており、東京湾流域内に66箇所の農業集落排水施設が稼動している。
東京湾流域内では38.5万人が整備対象人口となっており、そのうち5.3万人の住民が 農業集落排水施設に接続しており、整備対象区域に対する整備率は14%となっている。し かしこの整備率は、全国の平均整備率31%に比べ遅れており、今後、東京湾流域におけ る農業集落排水施設の整備を重点的に促進する必要がある。
  合併処理浄化槽整備事業は、平成13年度現在、東京湾流域内の106市区町村で実施 されている。東京湾に関わる4都県では、115万人の住民が浄化槽を使用しており、浄化 槽による処理率は4%となっている。一方、水質汚濁の原因ともなる単独処理浄化槽につ いては、官民を挙げた新設廃止への取組が行われ、平成12年度には浄化槽法の改正に より、既設単独処理浄化槽を使用するものは、下水道予定処理区域にあるものを除き、合 併処理浄化槽への設置替え又は構造変更に努めなければならないこととなった。今後は、 住民意識を高めるほか、市町村が主体となって浄化槽の整備・維持管理を行う事業を積極 的に活用し、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するとともに、窒素また はりんの除去性能を有する浄化槽の整備を促進する必要がある。

B その他
  森林は、樹木等の植生や土壌の働きにより、水質の浄化に役立っている。また、4都県に おける森林の面積は47万ha と総面積の36%を占めている。
このため、間伐等の必要な森林に対し、その重点的な実施等、森林の整備に取り組むと ともに、森林の生育基盤である林地を保全するための施設の整備や保安林の指定など、 計画的な森林の整備・保全を推進している。
しかしながら、林業の採算性の悪化などにより、伐採後に植林されず放置されている森 林があるなど、必要な森林の整備が十分行われていない森林が多くあることなどを踏まえ、森林の整備・保全を計画的に実施していくことが必要である。

(2) 陸域からの汚濁負荷の削減方策
  東京湾における早急な水質改善を図るため、水質総量規制制度に基づき各都県が策定 する総量削減計画の着実な実施及び事業場に対する総量規制基準の遵守の徹底等を図 るとともに、流域単位において、関係機関等と連携のもと、高度処理、面源汚濁負荷対策 等を含めた効率的、総合的な負荷削減のための計画策定及び事業実施を図る。なお、総 合的な負荷削減のための計画策定を行うため、雨天時等の流出負荷量の評価を行うため の調査を実施する。
また、閉鎖性水域を対象として、効率的に環境基準等の目標を達成するため、新たに経 済的手法の適用を含む流域全体の費用負担の方法について検討する。

@ 水質浄化に向けた施策
  下水道においては、東京湾流域別下水道整備総合計画に関する基本方針に基づいた 各都県における流域別下水道整備総合計画等に従い、中小市町村での普及促進、高度 処理の促進、合流式下水道改善等を積極的に行う。計画期間内に、流域内で下水道事業 を予定している全市町村において、事業に着手するものとし、高度処理についても新たに 概ね20処理場での供用開始を目指す。
  合流式下水道からの雨天時未処理放流水は放流先での水質の悪化、水利用者に対す る景観・公衆衛生及び生態系への影響が懸念されていることから、合流式下水道の改善 計画を策定し、10年以内を目途に以下のような目標を達成するため、重点的に改善事業 (ろ過スクリーン設置、貯留施設、消毒施設整備等)を実施していく。

<施策内容>
  ○合流式下水道から排出されるBOD汚濁負荷量を分流式下水道以下にする。
  ○自然吐きやポンプ施設における全ての吐き口において越流回数を少なくとも半減 する。
  ○原則として、自然吐きやポンプ施設における全ての吐き口において夾雑物の流出 防止を実施する。

  農業集落排水施設の整備に関して、東京湾流域の地域を重点的に整備するとともに、既 存施設の機能強化、必要な高度処理の促進を図る。
浄化槽については、住民意識を高めるほか、市町村が主体となって浄化槽の整備・維持 管理を行う事業を積極的に活用し、既存の単独処理浄化槽から、合併処理浄化槽への転 換を促進するとともに、窒素又はりんの除去性能を有する浄化槽の整備の促進を図る。
  河川の浄化対策については、河川直接浄化施設による浄化、浄化用水の導入、浚渫等 の有機汚濁対策に加え、湿地や河口干潟再生に伴う窒素・りん等の栄養塩の削減を、当 該河川関係住民の意見をふまえた河川整備計画に基づき、積極的に推進する。
4都県の育成林19万haにおいて、水質浄化等にも資するため、適切な間伐の実施、複 層林の造成など多様な森林の整備を進め樹木の健全な成長や下層植生の繁茂を促すとと もに、林地を保全するための施設の整備等を推進する。
  面源から発生する汚濁負荷の削減を行うため、流出する負荷を浄化するだけでなく、貯 留、浸透施設の設置等により雨水の流出を抑制し、汚濁負荷の削減を図る。
景観等の観点から行う浮遊ごみ等の回収については、公的主体のみでなく、流域に住む 住民の協力が重要であり、市民活動の取組を促進する必要がある。
都市の再開発等と連携一体化した汚濁負荷流出削減施設の整備等、東京湾にやさしい 都市構造の構築を進める。

A 各アピールポイントの水質改善のための施策
  東京湾全体の水質改善のため、各アピールポイントにおいて陸域対策として実施する代 表的な施策は以下のとおりである。

(イ) いなげの浜〜幕張の浜周辺
  千葉市南部浄化センターにおいて、高度処理を導入し、汚濁負荷削減を図るものとする。 また、千葉市中央処理区においては、吐け口のスクリーン設置、貯留・浸透施設等、合流 式下水道の改善を図る。さらに、当地区に流入する河川流域において、単独処理浄化槽か ら合併処理浄化槽への転換促進、高度処理型浄化槽の設置等の推進を図る。

(ロ) 三番瀬周辺
  江戸川左岸流域江戸川第二終末処理場において高度処理を導入し、汚濁負荷削減を図 るものとする。また、当地区に流入する河川流域において、単独処理浄化槽から合併処理 浄化槽への転換促進、高度処理型浄化槽、河川の直接浄化施設の設置等の推進を図る。

(ハ) 葛西海浜公園周辺
   埼玉県荒川流域荒川処理センターに高度処理を導入し、汚濁負荷削減を図るものとする。
さらに、綾瀬川等当地区に流入する河川において浚渫等の河川浄化対策、荒川河口域に おける干潟の再生を実施する。

(ニ) お台場周辺
  三河島処理場で高度処理を導入し、汚濁負荷削減を図るものとする。また、お台場海浜 公園への白色固形物の漂着する日数をゼロとするため、芝浦処理区の渋谷川、古川流 域において河川事業と下水道事業とが連携した雨水貯留管の設置、雨水吐き口における スクリーン施設の設置等を行う。さらに、隅田川流域において、浚渫や河川の直接浄化施 設の設置等により汚濁負荷量の削減を図る。

(ホ) 多摩川河口周辺
  川崎市等々力水処理センターで高度処理を導入し、汚濁負荷削減を図るものとする。ま た、入江崎処理区においてポンプ場沈砂池のドライ化*、雨水吐き室におけるスクリーン施 設の設置等を行い合流式下水道の改善を図る。さらに、下水道処理区域外の臨海部にお いては、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進を図る。

(ヘ) みなとみらい21周辺
  横浜市神奈川下水処理場における高度処理の施設整備を推進するとともに、雨水滞水 池による合流式下水道の改善により、汚濁負荷の削減を図るものとする。

(ト) 海の公園・八景島周辺
  横浜市金沢下水処理場に高度処理を導入し、汚濁負荷削減を図るとともに、金沢ポンプ 場沈砂池のドライ化や、ポンプ場放流水の消毒を行う。
(*)ポンプ場沈砂池のドライ化:降雨終了後にポンプ場における沈砂池等で汚濁物が含 まれる滞留水を取り除くこと。
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海域における環境改善対策の推進
(1) 現状と課題
  東京湾は、4つの特定重要港湾(千葉港、東京港、川崎港、横浜港)と2つの重要港湾 (木更津港、横須賀港)が所在しており、これらの港湾区域が海岸線で90%以上、水域面 積で約60%を占めている。湾奥部の海岸線は、港湾施設としての利用及び臨海部開発に 伴う埋立等により、大部分が護岸となっているが、一部の地域には、貴重な干潟・浅場等の 自然も残っており、海浜等が再生・創造されたところも存在する。
東京湾には、首都圏の生活排水・産業排水等を発生源とする大量の汚濁負荷が継続的 に流入している。そのため、湾内の汚濁が進行し、東京湾の水質は、湾奥部を中心にCOD、 T−N、T−Pなどの濃度が高く、夏季を中心とする成層期に底層において水塊が貧酸素化 する傾向がみられる。底質についても、湾中央部を中心に、CODの濃度が高い状況にあ る。さらに、現状においても、湾奥部を中心に赤潮が、千葉県側の湾奥部を中心に青潮が 確認されている。
  東京湾は、我が国の中枢を担う一大貿易拠点及び高い集積度を有する産業空間として、 首都圏及び我が国の経済社会を支える地域に発展してきたが、その一方で豊かな自然環 境が失われてきた。今後は、高い経済機能を維持・高度化しつつ、将来世代へ健全な状態 で自然環境を継承するために、緊急かつ長期的な観点で、東京湾内の自然環境を保全・ 回復・創造していく必要がある。

(2) 海域の汚濁負荷の削減方策等
  東京湾奥部及び湾中央部の海底には、生活・産業等からの排水や海域での植物プラン クトンの遺骸等を起源とする有機物が底泥として堆積しており、夏季の貧酸素水塊の形成 や硫化物の析出による青潮の発生の原因となっている。また、湾中央部から湾奥部におい ては、泥の堆積物が、底生生物の生息環境を単調化させている。このため、海域の有機汚 濁負荷の削減を図ることは、東京湾の水質環境を改善するとともに底生生物の生息環境を 健全で多様なものとするために重要かつ効果的な手段である。
具体的には、これまでに堆積した有機物の除去対策及び堆積した有機物からの硫化物 等の溶出防止対策として、運河等の湾奥部を中心とした堆積有機物をはじめとする底泥の 除去(汚泥浚渫)、開発保全航路等の浚渫により発生する良質な土砂を用いた浅場等の造 成による底質の改善(覆砂)等を効果的に推進する。これと併せて、浚渫土砂の適正処分 や有効利用についての検討を進めるとともに、必要な技術開発を行う。また、海面を漂う浮 遊ゴミ・油等については、親水空間への漂着による景観及び快適性の観点や水質改善の 観点から、効率的な回収を進め、今後、赤潮についても回収技術の開発を行い、環境整備 船等による回収の実施を図る。さらにNPOや漁業者等による海底ゴミの回収や海浜・干潟 の清掃活動を推進する。

(3) 海域の浄化能力の向上方策
  干潟や浅場、磯場などの浅海域には、その環境の多様性に伴いさまざまな生物が生息 しており、それらの生物による有機物の分解作用や取込作用等が働くため、干潟等の浅海 域自体が水質浄化機能を有していることが近年の研究で明らかにされている。
東京湾では、市民が豊かな生活を手に入れた一方で、臨海部の開発や背後圏の生活排 水等の汚濁負荷により、このような干潟等の浅海域などの生物生息環境が損なわれてき たことも事実であるが、近年では、葛西海浜公園(東京)、金沢海の公園(横浜)、いなげの 浜、検見川の浜、幕張の浜、船橋海浜公園(千葉)など人工海浜や干潟が再生・創造され てきており、また保全されてきた一部の干潟では、アサリ・ノリ養殖等の漁業活動が営まれ てきた。
  これらの干潟等は、水質浄化機能と同時に、魚類・底生生物・鳥類の生息環境としての 機能や潮干狩りやバードウォッチングなどの人々が海と親しむ機能をも兼ね備え、これまで の東京湾の再生にも大きな役割を果たしてきている。このような干潟等の水質浄化等の機 能に着目するとともに、東京湾において、多様な生物の生息環境を確保するための場とし ての干潟等の更なる保全・再生・創造を推進する。
具体的には、現存する貴重な干潟や浅場等については、他の公益との調和を図りつつ 可能な限り保全するとともに、順応的管理手法*を取り入れつつ、干潟、浅場・海浜・磯場の 再生・創造、生物付着を促進する港湾構造物等の整備、直立護岸から底生生物等の生息 場の創出を目指した緩傾斜護岸への改修など地域の特性に合わせた整備を推進する。ま た、臨海部の用地造成のため砂採取等により発生した深堀跡については、埋め戻し等の 推進を図る。なお、干潟、藻場等は大規模なものだけでなく、点在する小規模なものでも、 生物の移動分散によって相互につながりを持った場として機能している場合があると指摘 されていることから、長期的な観点から、より良好な生物の生息環境を構築するために、こ れらの干潟・浅海域等の相互のネットワーク化を図る。干潟の造成などにあたっては、海水 の流動への影響、水質改善効果、生態系の変化による環境影響など、東京湾湾奥部や周 辺水域に対しどのような直接・間接の波及効果があり、施策の実施場所やその規模によっ てどのように影響していくのか見極めつつ実施する。
さらに、閉鎖性の高い小規模な滞留域等においては、微生物の有機物分解機能を活用 した礫間接触護岸、人工的に水中に空気を送り込み対流・攪拌を発生させるエアレーショ ンなどの導入により水質浄化機能の向上を促進する工法の適用を検討する。また、風力や 波力等の自然エネルギーの活用も視野に入れ、昨今の技術進歩の著しい人工的な水質浄 化施設等の整備に関する検討や技術開発を実施していく。
  (*)順応的管理手法(アダプティブマネッジメント):自然の不確実性を踏まえ、生態系について の高い知見をもって、調査・研究及びモニタリングを行い、その結果を事業にフィード バックしながら、順応的な方法で政策を実施しようとする新しい公的システム管理の 手法。

(4) 具体的な施策の展開
海域の汚濁負荷の削減方策等、海域の浄化能力の向上方策のうち、主なものについて、 今後以下のような方針のもと、重点エリアを中心に施策を講じて行くとともに、さらなる環境 改善方策の展開を図っていく。

<方針>
  ○汚泥の堆積が著しい運河等において、汚泥浚渫、覆砂の着実な推進を図る。
  ○約20隻の清掃船等により、湾内の浮遊ゴミ等の全面的な回収を目指す。
  ○高度成長期以降に失われた干潟・藻場の面積について、湾全体で約1割を取りもどす ことを目指し、
    干潟・浅場・海浜・磯場等の再生・創出を推進する。

<具体的な施策>
  ・ 湾奥地区における覆砂、浅場造成
  ・ 運河等における汚泥浚渫
  ・ 港湾区域内及び一般海域における浮遊ゴミ等の回収
  ・ 生物に配慮した港湾構造物の導入
  ・ 海域における干潟・藻場・汐入等の造成実験
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東京湾モニタリング
東京湾全域のモニタリング体制の現状及び今後の対応については以下のとおりである。
(1) 現状
東京湾に係る水質モニタリングは、水質汚濁防止法に基づくものとしては、昭和47年度 から、沿岸の都県市により、鉛、カドミウム等人の健康の保護に関する環境基準項目及び COD、DO等の生活環境の保全に関する環境基準項目について実施されている。測定点 数は、環境基準点* 及び補助点合わせて105箇所(平成13年度末現在)であり、各地点 においてほぼ月一回モニタリングが実施されている。これらの測定点は、陸域からの影響 を受けやすい沿岸付近に比較的数多く位置している。また、東京湾の水質に大きな影響を 与える流入河川についても、流域の七都県市及び国の出先機関が、海域とほぼ同様の調 査項目について月1〜2回程度モニタリングを実施している。
  (*)環境基準点;環境基準の対応状況を評価するための測定点
一方、上記の法による常時監視とは別に国及び七都県市が以下のモニタリングを実施し ている。
  ○環境省では水質汚濁防止法に基づく水質総量規制等の効果を把握することを目的 に、昭和54年度から広域総合水質調査として湾中央部を含め東京湾全域を対象に 28測定点で、COD、DO等に加え、富栄養化の状況把握に必要な栄養塩類やプラ ンクトン等について年4回(底質については年2回)モニタリングを実施している。
○国土交通省関東地方整備局では昭和52年度から毎月1回、湾中央部を中心に5測 定点でCOD、DO等のモニタリングを実施している。
○海上保安庁では巡視船艇・航空機による海洋汚染の監視・取締りを随時実施すると ともに、測量船により、昭和47年度から年1回、湾中央部を中心に5測定点でCOD、 油分などについて、濃度分布、外洋への拡散状況等を把握する目的でモニタリング を実施している。
○沿岸の都県市では底質の性状等のモニタリングのほか、底生生物調査や赤潮・青 潮の発生状況の調査等を実施している。

(2) 今後の対応

@ 東京湾全体のモニタリング
  東京湾の環境を的確に把握するためには、水質、底質及び底生生物等に関するモニタリ ングを充実することが必要である。
特に、底層のDOは、底質や底生生物の生息環境、さらには青潮の発生と密接な関連を 有することから、底層のDOについてのモニタリングの充実を図ることとし、底層のDOが低 下する夏季においては、国及び七都県市の連携を強化する等的確なモニタリングを行う。 海上保安庁においては、平成14年度において、定点観測点として、千葉港沖の千葉灯 標に表層から底層までの水質(DOのほか、水温、クロロフィル等)を連続測定する装置(モ ニタリングポスト)を設置したところであり、今後、常時モニタリングを行う。
  底質や底生生物の実態把握は、底層の状況をより適切に把握するために重要なことか ら、七都県市首脳会議環境問題対策委員会水質改善専門部会において策定された「東京 湾における底生生物調査指針及び底生生物等による底質評価方法」を活用し、七都県市 が連携して底生生物のモニタリングを行うこととする。
環境省においても、広域総合水質調査の底質監視ポイントにおいて、底生生物のモニタ リングを行う。
これらの底生生物のモニタリング地点においては、底生生物と、環境基準項目や底層の DO、底質の状態との関連についても分析を行う。
赤潮については、一般になじみの深い現象であることから、統一した判定基準により発 生状況の把握を行うこととする。
  新たなモニタリング手法として、海上保安庁において、人工衛星による観測データを利用 し、広域にわたる赤潮等の発生、挙動、消滅などを把握する。
これら調査から得られたモニタリング結果は、市民にわかりやすい形で、広く一般に提供 する。
さらに、海域における汚濁物質の挙動を把握するうえで重要な流れについては、船舶・浮 標などを活用し、流れについてのモニタリングの充実を図る。
A 重点エリアのモニタリング
  本行動計画に基づいて国及び七都県市が行う施策の効果を客観的に評価するとともに、 市民が施策の効果を実感できるようにするためには、「重点エリア」の水質状況を的確に把 握していく必要がある。このため、主としてアピールポイント付近を対象として、水質汚濁防 止法に基づくモニタリング項目に加え、底層のDO及びアピールポイントごとに定めた指標 についてモニタリングを実施する。

(3) 情報の共有化及び発信
  国、七都県市等が実施している上記(1)のモニタリングの結果、水質等のデータが、既に 長期間にわたって蓄積され、今後も多くのデータの取得が考えられることから、行動計画の 実施に当たっては、これらデータ等のより一層の有効活用を進めることが必要である。
今後、国及び七都県市の連携協力により、データの整理・解析を進め、これら結果を踏ま え、施策への有効活用を促進していく。
さらには本行動計画の実施を通じて蓄積された情報が広い分野で活用できるよう共有化 に配慮して、関連情報の適切な集約・管理のための体制等を整備する。
また、モニタリング結果の発信は、東京湾の水環境の改善への関心を高める効果が期 待できることから、広く市民に向け理解しやすい形で行われる必要がある。そのためにも、 各種モニタリング結果を集約し、情報入手のためのアクセスポイントを整備することが必要 である。具体的には以下の例に示すように各機関のホームページ上の既存のWebサイト の充実を図るとともに、新たなサイトを設け、互いにリンクすることにより一般市民や研究者 等の利便を図る。
○ [仮称]東京湾水質監視サイト(環境省)
各アピールポイント毎に設定された目標や代表的な水辺の景観を掲載するとともに、水
質の最新状況等を市民に向けてわかりやすく発信する。
○ 東京湾環境関連情報(海上保安庁)
【http//www1.kaiho.mlit.go.jp/】
  現在、東京湾内で発生した赤潮及び青潮等の写真等を掲載している。また、東京湾の潮
流及び東京、千葉、横浜、横須賀における潮汐の情報についても発信している。
さらに、14年度に千葉灯標に設置したモニタリングポストから得られるデータについても、 本サイトで発信する。

○ 東京湾環境情報センター(国土交通省関東地方整備局港湾空港部)
【http://www.tbeic.go.jp】
  東京湾において毎月実施している環境整備船による水質モニタリングの結果や出先事 務所等が保有する環境情報を一元的に集約し広くインターネットで公開するとともに、環境 情報を蓄積・保管している様々な主体と連携を図りつつ、市民を含め可能な限り広く環境情 報を共有・発信していくための基盤であり、当面インターネット上のWeb サイトとして存在す る。

○ 貧酸素水塊発生等の情報に関するウェブサイト(千葉県水産研究センター)
【http://www.awa.or.jp/home/cbsuishi/】
  現在、貧酸素水塊や青潮の発生状況の情報収集及びその発信については、千葉県水 産研究センターが中心となって実施しており、今後とも継続的にこの活動ができるよう国及 び関係都県市が協力するものとする。

(4) 市民参加型のモニタリング
  東京湾への流入負荷のうち、家庭からの生活排水は大きな割合を占めており、 東京湾の水質を改善させるためには、流域に住む市民の協力が重要である。このため市 民がモニタリング活動に参加し、水質等の現状を自ら体験・学習できるような仕組みを整備 し、これにより東京湾の環境に対する意識の向上や市民レベルでの水質改善対策への自 主的な取り組みを促す必要がある。このため、市民やNPOなどと連携した継続的な活動を 展開する必要がある。
さらに、市民やNPOの環境保全活動を促進するためには、その活動内容を発表する場 を設けることが重要である。このことは、先の第5回世界閉鎖性海域環境保全会議 (EMECS2001)でも課題となり、まずそれぞれの活動に関する情報交換のための国内フォ ーラムを開催し、それを次の活動につないでいくことが提案されたところである。
これを受けて、本年、東京湾についてこのフォーラムが開催されたところであるが、今後 もこのような催しについて、NPO、関係七都県市及び国が連携を図りつつ充実を図っていく。
一例として、施策による改善の効果について、広く一般市民に周知するため、関連するシン ポジウム等において情報提供していく。
  また、海上保安庁においては、毎年6月5日(国連が定めた「世界環境デー」)を初日とす る「海洋環境保全推進週間」を定め、市民の協力を得て海洋環境保全のための継続的な 啓発活動を実施する。具体的には、環境保全をテーマとして行われる学校の総合学習、課 外活動の場の提供や市民参加型の環境イベントとして「お台場海浜公園」、「いなげの浜」 等においてボーイスカウト等地域住民と共同して海浜清掃を実施し、参加者に、海岸に漂 着したゴミのデータカードを作成してもらうなどのモニタリング活動を実施する。 また、上記のような活動を行うにあたっては、東京湾で多くのNPOがさまざまな環境保全 活動を行っていることから、これらのNPOとの連携を強化することとするが、海上保安庁は 沿岸域の安全確保の役目を負い海洋環境保全活動を行うことを目的として設立された「海 守」 に対して支援するとともに、「海守」を通して東京湾で活動する他のNPOとも連携を図 ることとする。なお、「海守」は平成15年度に東京湾において全国クリーンアップ事務局と 連携して漂着ゴミ調査の実施を計画している。
  (*)「海守」は、海上保安庁と協力し、沿岸域の安全確保の役目を負い海洋環境保全活 動等を行うことを目的として、平成15 年2 月1 日に設立された全国規模のボランティ ア組織(NPO)であり、国民自身が海を見守り、情報の提供を行うことにより、海上保 安庁の迅速かつ的確な事案対応に協力するほか、海洋環境の保全活動を実施する ことで海に対する意識の高揚を図るとともに、人々が安心して海に親しめる環境づく りを目指している。
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※参考:「東京湾再生のための行動計画(最終とりまとめ)」 平成15年3月 東京湾再生推進会議 より

本サイト上に掲載されている資料・データ等の著作権は、引用が示されているものを除き、環境省、それぞれの地方公共団体及び国立環境研究所が保有します。