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東京湾の水環境の現状

1. 東京湾の一般的特性 | 2. 東京湾の環境特性 | 3. まとめ

東京湾の一般的特性
 東京湾は広義には三浦半島の剣崎と房総半島の洲崎を結ぶ線より北側の海域を指すが、狭義には、観音崎と富津岬を結ぶ線より北側を指す(以後「内湾」と言う)。
 東京湾流域(ここでの東京湾流域は、水質汚濁防止法4条の2で定義された地域とする。以下、同様)は、南関東地域に属し、行政区域では東京都と埼玉県の大部分、神奈川県と千葉県の一部からなっている。これら1都3県は東京を中心とする首都圏を構成しており、我が国の政治、経済、文化等あらゆる面での中心となっている。東京湾流域は、面積では全国土の2%に過ぎないが、人口、工業出荷額については両者とも全国の約20%を占めている。
 歴史的に見ると、東京湾では江戸時代から、河川や運河の浚渫にあわせた土地の造成がなされてきた。また、明治時代から戦前にかけては、横浜、川崎を中心とする京浜地区で工業集積用地の確保を目的に埋立てがなされた。昭和30年以降、本格的な経済成長の中、埋立地を中心に石油コンビナートや製鉄所の立地が進み、東京湾の西岸だけでなく、京浜から京葉へと工業地帯が発展した。また、首都圏への一極集中が加速し、工業団地、発電所、下水処理場、廃棄物処分場など都市住民の生活を支える広大な土地が必要とされ、埋立地の造成がなされた。昭和40年代後半のオイルショックで一時的に成長は鈍化したものの、その後再び活況を呈し、東京湾の臨海部は、一貫して日本の経済成長と都市住民の生活を支えてきた。最近では、業務機能を中心とした拠点的な地域整備やレジャー・レクリエーション拠点の整備、人工海浜、海釣り施設などの親水空間の整備も進められている。
 東京湾に面する26の臨海市区(神奈川県三浦市から千葉県富津市の市区、東京都は特別区、横浜市、川崎市、千葉市は区)の面積は約18.8万ha である。このうち、明治以降1990年8月までに埋め立てられた土地は約2.4万ha である。1991年の事業所統計によるとこの26の臨海市区に約474万人が働き、約601万人が居住し、埋立地に約49万人が居住している。 br> 海域利用についてみると、東京湾は、船舶の航行、漁業生産、海洋性レクリエーション等、多様な利用がなされている。現在、東京湾内6港には、年間約35万隻の船舶が入港し、年5億トン以上の貨物を取り扱い、首都圏の産業や都市活動を世界と結びつけている。湾内では、1日約4600隻、大小様々な船舶が航行し、非常に錯綜した利用となっている。漁獲量は年間約6万トンで、昭和50年以降ほぼ横ばいであったが、平成元年以降減少傾向である。海洋性レクリエーションについては、マリンスポーツを中心に拡大傾向にある。東京湾においても、過去には水浴場、潮干狩場などが湾内に広く分布していた。しかし高度成長期には水質の悪化及び海岸周辺の産業用地としての利用などにより、人々が東京湾と親しむ機会が減少した。近年では、親水護岸、人工海浜の整備等により人々の海への回帰が進み、水質改善の必要性が改めて求められるようになってきている。
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東京湾の環境特性
(1) 地形など海域環境の状況
 内湾の水面積は約960km2、平均水深は15m程度であるが、湾奥から外に向かって徐々に深くなり、内湾の湾口部の水深は50m以上である。湾の形状は観音崎と富津岬のあたりでS字型に屈曲し、この間の幅は約7km と狭くなっており、閉鎖的な内湾海域が形成されているため、外海との海水交換が悪く、内湾の海水の年平均滞留時間は約1.6ヶ月となっている。また、内湾の水際線の総延長は約800km 弱であり、うち約8%が自然海岸を含む親水水際線であり、大部分が護岸など人工構造物による水際線となっている。
富津岬から洲崎、観音崎から剣崎にかけての沿岸域の海岸沿いには生物の生息場として重要な砂浜、岩磯、藻場が多く分布し、また、木更津から富津にかけては「盤州干潟」、「富津干潟」など大規模な干潟が存在する。千葉の蘇我付近から多摩川河口にかけての東京、千葉などの湾奥部の沿岸域は、水深10m以浅の浅海域となっている。また横浜市金沢地区から千葉県袖ヶ浦市までの湾奥部の沿岸域の海岸沿いは、大部分が人工護岸である一方で、「三番瀬」、「三枚州」といった貴重な干潟や浅場もみられ、近年においては、船橋から稲毛にかけての人工海浜や葛西臨海公園のなぎさ、羽田沖の浅場など、干潟・浅場が再生・整備されてきたところである。また、千葉県沿岸の浅海域には、場所によっては水深20mを越えるような深堀跡が点在している。
 東京湾の流れの概要は次のとおりである。
 周期的な潮流は東京湾内で最も卓越する流れであり、その中でも半日周潮*が優勢である。上げ潮時は北東方向、下げ潮時は南西方向を向いており、その流速は湾奥で小さく、湾口に向けて増加し、幅が狭くなる観音埼−富津岬間では大潮時に1.5ノット以上の強い流れが生じる。潮流の振幅よりも小さいが、物質の輸送に重要な役割を果たす恒流は風との関係が深く、北寄りの季節風が安定している冬季には、湾全体で時計回りの環流が形成される。夏季には湾北部で反時計回りの環流が見られる。また、水平循環とともに風によって湾奥幕張沖の湧昇等の鉛直循環も形成され、青潮の発生という現象により海生生物への環境に大きな影響を与えている。
(*)半日周潮(はんにちしゅうちょう):潮汐の分潮の中でほぼ半日の周期を持つものを半日周潮と呼ぶ。

(2) 汚濁負荷量
 東京湾には多摩川、荒川、鶴見川等の1級河川のほか、多くの河川が流入しており、陸域で発生した汚濁負荷は、これら河川を経由するか、または東京湾に直接流入している。平成11年度の東京湾における汚濁負荷量は、平成13 年12 月に定められた総量削減基本方針によるとCOD(化学的酸素要求量)、窒素含有量及びりん含有量それぞれについて247トン/日、254トン/日及び21.1トン/日である。一方、発生源に着目すると、陸域から東京湾へ流入する汚濁負荷には、生活系、産業系、その他系がある。その他系の負荷としては、市街地及び農地等から降雨等により流出する面源負荷などがある。各発生源の種類ごとの汚濁負荷量は以下の表のとおりである。


発生源別汚濁負荷量(平成11年度)
(単位:トン/日)
  生 活 系 産 業 系 その他系 合 計
COD 167 52 28 247
T−N 164 41 49 254
T−P 13.5 3.5 4.1 21.1
出典:総量削減基本方針(平成13年12月)

(3) 水質・底質の状況
 水質について見ると、COD、T−N(全窒素)、T−P(全りん)いずれも湾奥部の東京港周辺が最も高い濃度を示す海域となっている。CODについては湾奥部で3〜5mg/l 程度、湾の中央部では2〜3mg/l 程度となっており、内湾の湾口部に近づくにつれて良好になる傾向にある。約20年間の水質状況の推移からはCODの高濃度域の減少など一定の改善が見られるものの、環境基準の達成率は、60%強のレベルでほぼ横ばいとなっている。また、底質のCODは、船橋市や習志野市前面を除き、20〜30mg/g と湾奥部で高く、湾口部に向かって徐々に低下していく傾向にある。底層のDO(溶存酸素量)は、夏季の成層期には底泥の酸素消費の影響を受けて低下し、特に湾奥部周辺では、貧酸素化する傾向が見られる。

(4) 赤潮・青潮等の発生状況
 赤潮は春期から秋期を中心に湾奥部で発生し、近年では年に40〜60回程度確認されている。特に東京港、千葉港、川崎港、横浜港など港内での発生頻度が高くなっている。青潮の発生は、千葉県側の海岸線付近のみで年間2〜7回程度確認されており、青潮の発生規模によっては、漁業被害が生じる場合もある。

(5) 生態系の状況
 底生生物の個体数、種類数ともに湾奥部で少なく、湾口部で多くなっている。また、三番瀬周辺等の海岸沿いには、比較的多くの底生生物が確認されている一方、湾奥部の羽田沖から千葉市、袖ヶ浦市に向かう帯状に広い範囲の沖合の海域では、夏季には無生物に近い状況となっている。また、カレイやシャコ等の底生魚介類は、内湾の広い範囲で生息しているが、夏季になると、多摩川河口と袖ヶ浦市を結ぶ直線より奥部では、底生生物と同様に種類数、個体数ともに減少する傾向がみられる。その他、湾奥部の干潟、浅場、砂浜等は、渡り鳥の飛来地となっており、特に盤洲干潟のある小櫃川河口周辺、三番瀬周辺や大井野鳥公園周辺にはシギ、チドリ等の多くの渡り鳥が確認されている。
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まとめ
 以上、東京湾の水環境の状況をまとめると、特に後背地に大きな人口集積を有する閉鎖性水域のため、流入する汚濁負荷が非常に大きい上に汚濁物質が蓄積しやすく、汚濁が生じやすい状況にある。これに加えて、窒素、りん等の流入により富栄養化しており、植物プランクトンが異常増殖し、赤潮等が生じる現象がみられる。平成13年度の環境基準の達成率を有機汚濁の代表的な指標であるCODでみると、東京湾は68%と全国ベース(海域)に比べると低い水準にとどまっている。また、赤潮の発生状況をみると、平成12年度は東京湾で64件となっており、夏季の青潮の発生もみられる。これに伴い、沿岸地域においても、青潮や赤潮が水産生物など生息生物に多大な影響をもたらし、それに伴う死骸の漂着や青潮自体の悪臭、また漂着ゴミの問題など沿岸域における環境の悪化が解決すべき問題となっている。このような状況に対処するため、次章以下で述べるような総合的な水質改善の施策の推進を図る必要がある。
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※参考:「東京湾再生のための行動計画(最終とりまとめ)」 平成15年3月 東京湾再生推進会議 より

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